アニメーション作品       I wonder why

♪ I wonder why / amamania (official music video)

 






 I wonder why we want to know love.

 何故私たちは愛を知りたがるの?

 I wonder why there's love everywhere.

 愛はどこにでもあるものでしょう?

 I wonder why we can't let fear and sorrow go.

 どうして私たちは恐れや悲しみを手放せないの?

 We hold the universe inside of our hearts and soul.

 心と魂のなかには宇宙があるんだよ。

 I wonder why there's war in this world.

 なぜ世界中に争いがあるの?

 Can't we see that we can see ourselves inside everyone?

 みんなの中に私たち自身を見る事ができないのかな

 I wonder why the light of heart fades away.

 私たちの心の光は消え去ったのかしら?

 I wonder why our hopes go astray.

 希望はどこにいってしまったのか。

 I wonder why we are crying.

 私たちはどうして泣いているの?

 If we create happy future, we'll all have light in our hearts.

 もし、幸せな未来を作るとしたら、私たちすべてがそれぞれの光を灯そう。

 Turn on the light of love, let's connect like a flap of abutterfly.

 愛の光を灯そうよ。そして蝶の羽ばたきのようにつながろうよ。







前文明の科学者たちは論議の末、彼らから記憶と言葉を消去する事にした。

記憶は新しく築く時代には不必要なもの。

記憶はまた同じ過ちを繰り返してしまう可能性を(同時に)持つ。

最後の日、おそらく、科学者の一人は彼ら彼女ら一人一人の手に貝がらを持たせたのだろう。

それはここが青い惑星であった証。


何十年、何百年、いや何千年先か。

君たちが目覚めたとき、この貝がらが何なのか覚えている者は一人もいないだろう。

しかし君たちは目覚めるのだ。

新しい時代に。

かつて海があった。かつて愛しあっていた。かつて殺し合った。

それらを忘れ、朧げな希望だけを持って目覚めるのだ。


彼らは保存された人たち。

彼らは言葉を知らない。

彼らは記憶を持たない。


もし、新しい時代が始まるならば、一つ一つを新たに丁寧に選択していかなければならない。

そして刻んでいくのだ、別の叡智を。別の未来を。

作品について

2012年9月、音楽ユニット”amamania”の楽曲『I wonder why』を、行きつけのイタリアンレストランの片隅で始めて聞いた。

衝撃。

その歌は完璧だった。

ボーカルShamianさんの歌声は洗練された楽器のようで、とても優しく神秘的だった。

amamania主催の松本さんから『この楽曲を使ってアニメーションをやれないだろうか?』と聞かれ、『少女が主人公でファンタジーがいいんだけど。』との事だった。

僕はすぐに、失われた文明の脚本が頭に浮かんだ。


その失われた文明を、文明崩壊後からどれくらいの時間経過で描くかを考えなければスタート出来なかった。

文明崩壊後時間経過のシュミレーションを何度も見ながら自分で想像していた。

100年〜200年もすれば大概の物が消えてなくなってしまうようだ。

残るもの、残らないであろう物を選り分けながら考えるうちに袋小路に入る。

紙など存在するはずもなく。

そうなると作品内で演出効果で使える物は、砂埃くらいしかないのでは?。

なので、やはりリアリティとステレオタイプの狭間で作るしかない。



この作品における『貝がら』は、象徴です。

それは金融の事かもしれないし、科学技術の事かもしれないし、あるいは文化、宗教、特に限定はしていません。

僕たちは何をもって仲間であると認識するのだろうか。

何をもって『共に生きてゆこう』と思うのだろうか。

この作品に出てくる登場人物たちは、自らが目覚めた(誕生した)瞬間から手にしていた『貝がら』をもって、自分たちは仲間だと意識しています。

もしかしたら、彼らはそれを持っていない者を信頼する事が出来ないかもしれない。

もしかしたら、彼らは自分たちと違う持ち物の者を敵と見なし攻撃するかもしれない。


僕個人的には、今ある文明の時代はやがて崩壊すると思う。

100年か1000年かは解らないが、それは確実にあると思う。

それは巷の噂やオカルティックな話ではなく、もっと現実味のある形で破局が用意されてしまっている(または破局の要因が用意されてしまっている)と思う。

物質主義というのは結局そこへ辿り着くものなのだろう。

大好きな作家、アーサー・C・クラークの言葉を借りればそれも『一つの可能性に過ぎない』。

未来の可能性か、それとも過去にそうであった可能性か。

僕たちは霞(かすみ)の中にそれを感じていると思った。


いずれにせよもし新しい時代が始まるなら(始めるならば)、再び一つ一つを丁寧に選択していかなければいけないのだろうと思う。

選択した物事の一つ一つが明日を作っていく。

この物語はアダムとイブの話です。



差し伸べる手には何も持つ事が出来ない。

I wonder why

●Shamian Hideko/Voice
●Aki/Synthesizer,Programming
●Kyoko Oikawa/Violin

音楽ユニットamamania

Directed(PV) by Artmic8neo

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I wonder why (歌詞)/amamania